'水不足' のアーカイブ

ベジタリアンの極論

食事の種類別の水の使用量:

ビーフ1食分     =1200ガロン
チキン1食分     =330ガロン
ベジタリアン1食分 =98ガロン

だから、みんな肉を食べずにベジタリアンになろう、という動画:

現在家畜に与えている穀物の量は、世界の20億人の人を飢餓から救える量。2008年の統計でおよそ8億6000万人の人が飢えている。 飢饉が減れば戦争も減る。 だから、家畜を増やすのはもう止めて、ベジタリアンになろう。。 という主張。

GO VEG, BE GREEN
(ベジタリアンになって地球に優しく)

というキャッチフレーズまである。
ちなみに、判りやすく「ベジタリアン」と訳したけど、原語ではVeganであり、これはいくつかあるベジタリアンの類型のなかでも、「純菜食主義」と呼ばれる「ヴィーガン」であり、動物由来のものを一切摂取せず、靴や衣服にも使わない。卵も乳製品も、ハチミツも摂らない。

自分はベジタリアンではないから肉も魚も普通に食べる。 だけど勿論、菜食主義者たちの嗜好は自由だと思う。マイケル・ジャクソンも確かベジタリアンだし、自分の周りにも何人かいる。 個人の食べ物の好き嫌いの話に留まるなら何の問題もない。 自分はチョコレートなどのカカオ由来の食べ物を食べない。干し柿やマシュマロはあまり好きじゃない。 そういうレベルの話であるならば。

だけど、肉を食べないで家畜を育てるの止めよう、という呼びかけには大いに疑問だ。 クジラは生物多様性の問題だけど、ウシやニワトリはそうではない。 ヒトは、何百万年の進化の過程を経て現在の雑食性を得たはずであり、体のつくりもそうなっている。ヒトには胃袋が4つあるわけじゃないし、犬歯も発達している。肉を食べるように作られている。 ヒトと家畜の関係も、生物種全体のバランスにさえ影響がなければどこに問題があろう。 家畜にしたって、多くのヒトを効率よく養うためにヒトが獲得した手法だ。 カッコウの託卵や、チョウチンアンコウのルアーや、風に乗って飛ばされるタンポポの綿毛と、本質的には何の違いもない。

問題があるとすれば、そういう人間の「工夫」が自然界でのバランスを崩し始めていることであり、肉食や家畜そのものではない、と思う。考えるべきは、肉食や家畜の是非ではなく、それらを前提にした資源再生可能性への工夫ではないのか。

種の進化は遺伝子と環境が決めるのであって、自分たちで決めるものではない、と思う。

スマート・パイプで戦略的な水利用を

戦争よりも、水が人間を殺しているというショッキングな報告:

国連環境計画は「世界水の日」の(2010年3月)22日、水資源管理に関するリポートをまとめ、世界の水質汚染による死者は、戦争や紛争などの暴力による死者の合計を上回っていると報告した。
それによると、途上国では排水の90%が垂れ流しにされ、飲料水の汚染や衛生状態の悪さに起因する下痢性疾患で年間約220万人が死亡している。水を原因とする疾患で死亡する5歳未満の子供は少なくとも年間180万人に上るという。
[2010.03.23付 CNN.co.jp/補足&強調Ekojin]

なんともはや、、、痛ましすぎる。 淡水の管理はかくも難しいものなのか。 増える人口、余るところでは余り足りないところではとことん足りない食糧、生活水準の向上による先進国の飽食化、、、。

人口増大、工業化、食品生産、生活水準の向上、、、、淡水が人類の生存と発展に欠かせないことは自明過ぎる。 排水が垂れ流され、衛生状態の悪い飲料水を飲んで死に至る子供たち。問題は、量よりもむしろ、戦略なのかも知れない。 水の利用に関する戦略。 適正配分と持続性確保の為の戦略。。

例えば、一見多くの手間とコストをかけて汚染を浄化する必要があると思われる排水も、適切な管理と技術があれば、むしろ生活に欠かせない資源となる。 排水中の窒素やリンの化合物を肥料として活用することができそうだ。 

ネットに転がっていたデータを信用して載せてみる:
——————————
地表の
75%は水で覆われている。 そのうち、
97.5%は海水。 つまりわずか2.5%が淡水。  そのうち、
70%は氷。 つまりわずか30%が地下水。 そのうち、
1%未満が実際にアクセス可能な水。
これは、地球上に存在する水のうち、わずか0.007%を意味する。さらにそのうち
70%は、生物の成長に使われ、
22%は、産業の為に使われる。
わずか0.08%が、飲料などに使える水。
——————————

こんなに少ない。数十年以内に100億人の人口を抱えることになる地球では、淡水の利用はどうしても戦略が必要になるってものだ。利権がはびこり、戦争が起こる。

電力の世界では、「スマート・グリッド」が流行し始めている。
水資源の世界にも、「スマート・パイプ」が必要かもしれない。

深層水の産業利用

日立プラントテクノロジー社が、深層水に目を向けている。

深層水の温度は季節にかかわらずセ氏5度前後で一定する。通常、空調冷媒用の水は電気エネルギーを使って冷却して配管に通すが、深層水を使えばこの電気エネルギーは不要になる。深層水のくみ上げにもエネルギーが必要だが、横山彰技術本部長は「くみ上げた水を散水用の水などにも活用すれば、ビジネスとして成り立つ」と語る。
[2010.03.03付 日経産業新聞「水の世紀」/補足&強調Ekojin]

海洋深層水とは、深度200メートル以深の深海の海水のこと。表層とは異なる特徴がいくつかある。

  1. 清浄  ・・・ 汚れた川の水は影響しない深さ。 太陽光も届かないのでプランクトンもいない。雑菌も少ない
  2. 無機栄養分が豊富  ・・・ 上と矛盾するようだが、プランクトンが育つために必要な無機栄養分が、上から沈み込み、消費されずに残っているため
  3. 低温安定 ・・・ ほぼ年間を通じて水温が安定している

その海洋深層水を汲み上げて、空調の冷媒設備に活用する。 年間を通じて冷えているのであれば、何かを冷やす需要が常にあるのなら、有効に使えることになる。 ただし、汲み上げるエネルギーを考慮に入れる必要が当然あり、同社では別の用途に使える道を探ることでビジネスチャンスも汲み上げようとしている。この分野でも日本の技術は進んでいるとのこと。

現在はまだ汲み上げの候補地選定の実証段階、というステータスらしい。 太平洋と日本海では深層水の性質も異なるらしく、慎重なロケーション選定が必要なのだろう。

まだまだ緒に付いたばかりのこのビジネス。淡水化のような派手な技術でなくても、確かに光るイノベーションがある。

電気も水も同時に作る総合商社の強み

UAE(アラブ首長国連邦)東部フジャイラの海岸地帯に今年(2010年)8月、汲めども尽きぬ泉が湧き出す。丸紅がアブダビ水電力庁や英インターナショナル・パワー(IP)などと2007年から組んで建設するのは、出力200万キロワットの天然ガス火力発電所の余熱で海水を蒸発させ、日量59万トンの淡水を生み出す造水発電プラントだ。
[2010.03.02付 日経産業新聞「水の世紀」/補足&強調Ekojin]

・・・今後20年間、現地に電力と淡水を供給する巨大プロジェクト。事業費は28億ドルに上るというからすごい。

⇒丸紅のプレスリリース (2007.08.02付)

成長著しい中東諸国で、発電インフラの整備が進む。発電所建設と併設して海水淡水化プラントを作る。 電力を作る際に水を作る、というわけだ。 火力発電の蒸気タービンの排熱を利用して海水を熱して蒸気、そして淡水を生成する。 水を作る際に電力を作る、と言い換えても良いのかもしれない。 電力も淡水も、どちらもエネルギーの需要があるところには欠かせない。

プラント建設にかかる莫大なお金は、アブダビ水電力庁への売電収入で回収する。20-30年の回収期間を見込んでいる。 この、大型プラント設備にかかる資金や部材の調達、長期の回収ノウハウなどは、長年海外で発電事業を営んできた丸紅の強さであり、淡水化技術なども加えた総合的な日本勢の競争力を形成している。 日本の総合商社ならでは事業シナジーと言えると思う。

同様の計画が中東でいくつか進行中。 丸紅の中東・北アフリカ戦略にもそのことが謳われている。

実に日本らしい、というか。イイネ。

水問題を考える映画

淡水が足りない問題については、当ブログでも何度か採り上げてきた。

今年(2010年)になって、また水問題を扱った映画が日本で公開されたので改めて紹介。アップリンク配給。
上映していたときには見逃してしまったのでDVD化を待っているのだけれど。。。

(下)予告編

水は公共財、という考え方は以前に観た映画でも紹介されていた。
水憲章にそのことを盛り込む運動。

ともかく、こういう映画が何本も作られていることは、つまりは水の問題が深刻化しているということの証左だ。ハイチの地震被災者に必要なものは、千羽鶴ではなく水だった。

Ekojinの座右の銘は、「上善水の如し」。老子の言葉とされている。
水は、無味無臭で謙虚な存在。器の形に合わせて自由自在にその姿を変える。なのに、秘めるエネルギーはすさまじい。かつあらゆる生物にとって必須の存在でもある。 本当の「善」というものはそういうものだ、という言葉。 水のように謙虚で力強くあれ、と。
その上善の象徴たる水が足りなくなっている。善も何も、生きるか死ぬかの問題だ。命の源たる、水が。

食糧は足し算(算術級数)でしか増えないが、人口は掛け算(幾何級数)で増えていく、というトマス・ロバート・マルサスが200年以上前に「人口論」で展開した説が、呪いのように現代人を脅かす。食糧ではなく、水の惑星に豊富にあるはずの「水」に置き換わって。
水を巡って戦争が起こるかもしれない。既に、水の利権に群がる資本主義者たちの醜い争いがある。淡水が商品化している。

この問題は、なかなか重い。水道をひねれば淡水がフリーで得られる、という状況は、やっぱり特殊なことだ。ハイチの地震の例を持ち出すまでもなく、人間が作り上げた上下水道インフラは自然災害等であっけなく崩壊する。本来、こんなに多くのヒトを収容できる自然はない。およそあらゆる陸地にヒトが生活しているのは、人間が作り上げた上下水道インフラあってのこと。 それが崩壊すれば、人間社会も崩壊する。 人口は、人工に依存している

水はかように重要。 大事なことは、その水は、決してヒトにとってのみ重要なものではない、ということ。この惑星に存在する水を共有するべきなのは、60億の個体を数えるサピエンス種の霊長類一種に留まらない。 全ての生物が淡水を必要としている。 

売ったり買ったり、、、独占したり、、、そんな場合ではないと思いますよ。

水利権の排除を人権宣言に

Flow: For Love of Water
というドキュメンタリー映画をTVで観た。

多くの国で、「水の供給」が民営化しており、
それがもたらす悲惨な現実を描く。

Suez社Veolia(旧Vivendi)社といった
水メジャーたちが、貧困地域の「取水権」を得て
企業論理に基づいた水の販売を行なっている。
淡水がなくて困っている人たちには
結局手の届かないものとなり疫病が蔓延。

開発途上国への経済的融資を行うべき世界銀行も、
この問題に関しては完全に水メジャーたちに牛耳られており
民間シンクタンクである「世界水会議」、
及びそれが主催して閣僚宣言も出される「世界水フォーラム」も、
結局功利主義的な企業のための場になっている、
というのが本映画の重要な問題提起だ。
とても考えさせられる。

プロデューサーのスティーヴン・スター氏が国連で講演:

本映画では、世界人権宣言に新たな条項を追加することを提案している。
1948年12月に国連で採択されたこの宣言は、言うまでもなく、
世界が達成すべき最も基本的な人権についての国際的な宣言だ。

世界人権宣言 (PDF)

その最後に、次の条項を加えようというのだ:

第31条
すべての人間は健康と幸福のため、清浄な水を得る権利を有する。特定の経済目的に対し、何人たりともこの権利を阻害することを禁ずる。
Article 31:
Everyone has the right to clean and accessible water, adequate for the health and well-being of the individual and family, and no one shall be deprived of such access or quality of water due to individual economic circumstance.

署名サイト
 (※SSLになっていないのが少し気になるけど)

・・・つまり、水利権の排除だ。

太陽が誰のものでもないように、
地球を循環する水も、誰のものでもない。
水を私的にせき止める権利など誰にもありはしない。
治水や利水は、公的に行うべきだ

日本は、水の販売そのものではなく、
淡水化技術や利水インフラの整備の高い技術などで
世界に貢献するべきだと思う。

NationalGeographic (1) ~水の惑星のなりたち

National Geographicより、「地球の履歴書」。

地球が水で覆われた経緯。

約45億年前に生まれた地球は、最初は焼け付く岩石の塊。
やがて星全体が冷えていくと火山の噴火によって雲が作られ、
何千年にもわたる「ハイパー集中豪雨」。
低いところに寄せられる雨は川をなし、原始の海を作った。

現代の大海の膨大な水の「半分」はこのときのもの。
残り半分は、地球にドカドカと衝突する隕石に氷の形で含まれる水だ。
隕石なんてそんなにしょっちゅう落ちてくるものじゃないのに、
そこに含まれる水分が半分の水の起源だなんて、気が遠くなるね。

いずれにしてもそうやって地球は水の惑星となった。
星の表面積からすると、本当にうす~~~く「乗ってるだけ」の水だけれど、
その水こそが地球を他の惑星とは大きく異なるものにしている。
青く水をたたえた星。 本当に美しいと思う。

そして何よりも、その水こそが、
あらゆる生物種をして地球を「母星」たらしめた。
水は生の起源だ。

謙虚であると同時に秘めるエネルギーを持ち、
かつ誰にとっても欠かせない存在である水。
そんな水のような生き方をしたいな、って思います。

NEXT>> [NationalGeographic (2) ~海が魅せる表情]

月・土・水

月の土に水があった、というお話:

米航空宇宙局(NASA)やインドの月探査結果などから、月に水が存在することが確実となったと、米国の研究者が(2009年9月)24日、米科学誌サイエンス(電子版)で報告した。これまで月には水がほとんどないと考えられていたが、月面の土1トンあたり約900グラムの水が含まれているという。
NASAが支援するブラウン大学の研究機関が、インドの探査機「チャンドラヤーン1号」など、様々な月探査観測結果を基に分析した。
月面で人類が活動するには十分とは言えないが、有効に活用することで月面基地の設置などを推し進める結果だとしている。
[2009.09.25付 CNN.co.jp/補足&強調Ekojin]


月面
[PD/Wikimedia Commons]

20世紀になって人類が初めて到達した地球以外の天体なわけだけど、
未来にはそこに人が住んでいるかも知れないというテーマは、
昔から多くの人の想像力をかきたててきたんだろうな。
日本最古の物語である「竹取物語」のかぐや姫は、
「月の都からきたので帰らなきゃいけないのです」と言って去る。
ジュール・ベルヌは「月世界旅行」で、大砲を使って人を月に送り込む話を描いた。
ムーンライト・マイル」は、近未来の月面開発がテーマであり、
月のヘリウム利権を巡った各国の政治力学、というリアルな物語。

・・・まだまだ人が居住するまでには遠い道のりがありそうだけど、
その月に水が割と多く存在している、という話はちょっと嬉しくなるじゃないか。
少なくとも水が存在できる、ということだから。

月の天然水」、、、なんていうお土産が売られる時代が来るのだろうか・・・・。

ペットボトル飲料水全面禁止の町

環境配慮には時にはドラスティックなアプローチ:

オーストラリア東部にあるシドニー近郊の町バンダヌーンは(2009年9月)26日、町内でのペットボトル入り飲料水販売を全面的に禁止する措置に踏み切った。温室効果ガス削減など環境負荷の軽減が目的で、シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)は「恐らく世界初の試み」と伝えている。

バンダヌーンの人口は約2000人。同紙によると、ペットボトルの製造や輸送で石油が消費され、使い終わったボトルがごみ問題の原因にもなるとして、7月に同町の住民の投票でペットボトル禁止を決めていた。代わりに町内の数カ所に水道水を供給する施設を開設したほか、繰り返し使える飲料水用ボトルが販売されている。
[2009.09.27付 毎日.jp/補足&強調Ekojin]


ペットボトル
[PD/Wikimedia Commons]

⇒Sydney Morning Herald紙の記事

・・・人口2000人と決して大きくはない街だけれど、
こうやって環境面で世界にパブリシティできる実績を作ったことは、
実際の効果以上に街を盛り上げているのではないか、と推察。
実際、メディアの取材依頼が殺到しているらしい。

大抵この手の「販売規制モノ」は既得権益サイドやら業界団体やらの反発によって、
頓挫するか、骨抜きになるのが相場。
バンダヌーンの場合、住民投票での賛成を経てからの措置だから、
その手の反対が起こりにくい状況だったのかもしれない。

そして、代替措置として町のあちこちに飲料用の浄水器を設置する
というから町も本気だね。

1点気になるのだけれど、禁止されているのは「水」だけ??
そうか、なるほど。
でも、「水滴、岩をも穿つ」とでも捉えておこう。

天然の水筒

東南アジア地域の「マイ水筒」:

「この地域ではメロンがいわば水筒の役割を果たしている」。総合地球環境学研究所の田中克典研究員は説明する。メロンは豊富な水分を含み、ナイフ一つあればどこでも簡単にのどを潤すことができるためだ。
ラオスは雨もふんだんに降るが、農村では十分に水道が整備されていない。移動や農作業の際の水分補給に、持ち運びできるメロンはうってつけ。中国の乾燥地帯やタイなどでもメロンやキュウリ、スイカといったウリ類を水代わりにする文化がある。
[2009.09.27付 日本経済新聞特集「ネーチャー・クライシス」水が鳴らす警鐘⑨/強調Ekojin]


メロン
["Cucumis melo 1 (Piotr Kuczynski)"/Author:Piotr Kuczyński /cc-by-nc-sa3.0]

・・・これは知らなかった。
天然の水筒というわけだ。

ただ最近のラオスの農家は、
メロンよりも儲かるゴムやサトウキビを作る傾向があるのだそうだ。
また、水道は整備されていないがペットボトルの普及も進み始め、
この伝統的な「メロン水筒」の存在意義が薄れ始めているのだという。

単純に水の供給形態が変化した、
ということであれば問題はなさそうに思えるけど、
メロンから直接水分を得るのとペットボトルから得るのでは、
ペットボトルを作る際に必要な純水などの間接的な淡水の量も含めれば、
「必要となる水」はまるで違うだろう。
貴重な水源のシフトだ。

これまであまり注目されてこなかった近代化の暗部なのだろう。
世界的な淡水不足が深刻化する今、
こういうことが敏感なメディアに採り上げられることになる。

この問題は、
水不足の問題というよりは南北格差の問題だ。
途上国の人はメロン食ってなさい、とは絶対に言えない。

グリムス7本目+みずのがっこう

7本目ともなるともう手馴れたもんですw

(下)7本目。今回は四角。

(下)グリムスキーワード。徐々に増えてる。 ・・・ん?「地球」??

ひとつだけ見慣れないイラストが混じってる。
これは、「Think the Earthプロジェクト」とのタイアップ企画で
みずのがっこう」というもの。

世界の水事情を学ぶため、学校の行事や授業に見立てたイベントや企画を開催。
衛生的な先進国にいるとなかなか気づかないこの深刻な問題についての啓蒙を行う。


みずのがっこう

「カリキュラム」を見ると、単に水不足の問題にとどまらず、
様々な側面で水の問題を取り上げている。
改めて、水というものの大きく静かな存在力を感じる。

・・・20-30年以内に、水をめぐって戦争が起きるとも予想されているなか、
蛇口をひねるだけで衛生的な水を得られる環境にいる恵まれた我々は、
世界の水事情を努めて知ろうとしなければいけない責務があると思う。
豊かさに「溺れて」しまわぬように。

TAP PROJECTな店に行ってきた

昨日紹介した「TAP Project」。

3月22日の「世界水の日」に合わせたキャンペーンのため、
水のチップの募集は、3月20日から3日間しか実施されないみたい。
恒久的にやればいいのに、と思うけどね。

というわけで行ってきました。

自由が丘(東京都目黒区)の「カフェ ラ・ボエム」。

(下)入り口に募金箱が。

無料でサーブされる水と一緒にTAP PROJECTの協力を
呼びかけるシートが付いてくるのかと思ったけど、そういうわけではないみたいだ。

(下)テーブルチェック時の呼びかけ。

(下)当たり前じゃないのです。

もちろん募金をしてきましたよ。
計300円。

・・・批判者は「だったら直接カネなり水なりを送れ」と言うかも知れない。
あるいは、
「自分の豊かな生活を担保したままおいしい食事に舌鼓を打ち、
お情けで100円程度を募金して良いことをした気になっている偽善者
と言うのかも知れない。

偽善者だろう。その通り。
ただ、一応反論しておきたい。
偽善者だろうがなんだろうが、何もやらないよりは遥かにマシなのだと。
何もやらないことの理論武装を固めている向きよりは、遥かに。

この世界的な活動を支援したい、と思う。
一過性のキャンペーンではなく、全てのレストランが実施すればよい。
出す出さないはあくまで自由なのだから。

・・・ちなみにtapとは、蛇口のこと。

改めて、「TAP PROJECT」の動画。胸を打つ。

無料の水にチップを

ユニセフの「TAPプロジェクト」が日本進出。

レストランなどで提供される無料の「水」に100円以上のチップを支払うことで、衛生環境の悪い地域に住む世界の子どもたちを支援する募金活動「TAP PROJECT」が日本に初上陸し、広域品川圏では15軒の飲食店が参加する。
[2009.03.13付 品川経済新聞/補足&強調Ekojin]

国連の「世界水の日」(3月22日)に合わせて発足したプロジェクト。
レストランで出される無料の水に任意のチップ(1ドル以上)を呼びかけることで、
安全な水が手に入らない世界の子どもに届ける
アメリカ、カナダ、ニュージーランド、フィンランドなどでも実施されている。

世界の5歳未満の子どものうち、5人に1人が安全な水が手に入らない。
一方、日本を含む先進国では、
レストランの席に座るだけで無料の水のサービスを受けられる。

当然のように。
でも当然じゃないよね。

3月20日から22日の3日間、対象のレストランでは
その「当然ではないこと」を意識させるべく、
出される水の下には「TAP Project」の説明がある。
賛同すれば、そこに100円玉を置いておけば良い。
参加レストラン一覧

気を引き締めねば。
多くの子どもたちの喉は潤されていない。


["The world of water"/Author:Snap® /cc-by2.0]

名酒の源流の危機

名酒「蓬莱(ほうらい)泉」の仕込み水は大丈夫なのか。愛知県設楽町で設楽ダム建設計画を進める国土交通省が、蔵元の関谷醸造(同町)からこう問いただされ、仕込みに使われているわき水の水脈や水質の調査に乗り出した。「水に影響が出れば死活問題だ」と同社は不安を募らせる。

同社は1864年創業。「蓬莱泉」の銘柄で知られ、純米大吟醸「吟(ぎん)」や「空(くう)」は予約でしか入手できない幻の名酒として知られる。
[2009.01.18付 asahi.com /補足&強調Ekojin]


「蓬莱泉」のひとつ、「可」。
["蓬萊泉(ほうらいせん):関谷醸造"/Author:maki_flickr /cc-by-nc-sa2.0]

日本酒はあまり飲まないのでほとんど知らないけれど、
「蓬莱泉」はミネラルがほとんどない超軟水を使用して、
飲み口がやわらかくまろやかなんだそうだ。

幻の名酒として知られているくらいだから、相当なものなんだろうねー。

ただ、名酒には水の質が重要だということはシロウトでも分かる。
ダムが近くにできる、なんてたまらないだろうなあ。

この関谷醸造は、社有地に流れる湧き水を使ってこの名酒を産み出してきた。
昭和30年代からというから老舗だ。

お酒になる水の部分はもちろん、
米やタンクの洗浄にもこの貴重な水を使っているとのこと。
その量、1日20トン。

・・・ダムの是非は一概には言えないけれど、
こういう影響もあるってことだね。

環境アセスメントの対象は、思ったより広く取る必要があるのかもよ。

上善な水力の活用

老子の「上善如水」という言葉は、Ekojinの座右の銘です。

柔軟さ、謙虚さ、力強さ、しかも欠かさざる存在。
という水の性質こそが上善(まことの善)。
そんな生き方がしたいな、と。

そうなのだ。
水は、謙虚だが、力強い。

日本の川の落差は大きく、戦前から各地に大型のダム式水力発電所が作られてきた。いまでも、その多くが稼動を続けており、重要な電力供給源になっている。そのエネルギー量は他を圧倒している。風力や太陽光などほかの再生可能エネルギーをすべて合計した発電量の4倍に匹敵する。世界規模ではさらに大きく、再生可能エネルギー全体の87%を占める。スウェーデンなど電力の4割近くを水力でまかなう国もある。
[2009.01.09付 日経産業新聞 「新エネ事始め 水の力」/強調Ekojin]


ブラジルとパラグアイ国境のイタイプダム。世界最大の発電量
[GFDL ver.1.2/Angeloleithold, 2005]

・・・水の落差を利用して安定したエネルギーを得るためにはダムは欠かせないのだけれど、
ダム建設そのものは、環境破壊の象徴のようなものでもある。
難しいところ。

世界では水不足が進行しているが、
日本は比較的水が豊富。
であれば活用したい。

雨力発電」が体系的に、安定的に、包括的に、世界的に実現すれば、
もしかしたらダム建設の必要がなくなるのかもしれない。
まだ、傘を光らせるくらいしかできないみたいだけれど。

水のパワーを活用するための知恵。

「水」色の世界基準

(下)この色を水色と呼ぶことに、普通、何の違和感もないはず。

水色はその名のとおり、水の色ということだ。
逆に、水の色がこの色なので、この色を水色と呼ぶようになった、ということ。

ここまで言えば何を言いたいか分かってくれるとおもうけれど、
水がこの色、というのは当たり前のことではない。

ボルヴィックが、「あなたは水をなに色で描きますか」というキャッチで募集している
みんなのみず お絵かきコンクール」。
ユニセフの支援キャンペーンの一環だが、説明書きにこんな言葉がある。

マリ共和国だけでなく世界には水の色を「茶色」「黄色」等の色と思っている子どもたちが数多く存在します
世界の子どもたちが置かれている水の状況を日本の子どもたちが知るきっかけとなり、問題解決のために小さな一歩であっても行動を起こすことの大切さを感じる機会となることを目指し、応募総数と同じ数の色鉛筆をマリの子どもたちに贈る仕組みを採用したお絵かきコンクールを実施します。
[キリンMCウォーターズ社「ボルヴィック」Webサイトより /強調Ekojin]

・・・そういえば、思い出したけど、
子供の時に初めて教えられて以来口に出すのに慎重になっているのが、
「肌色」という言葉。
この言葉に付きまとう差別主義の臭いは、
どうもエセ平等主義者的には悪いことのような気がして。

この水色のハナシはそれに似ているかもしれない。
水色が水の色から名づけられるということの、エセ世界基準だ。
これは、また、慎重になってしまうかも・・・・。

微生物キャパオーバー ~富士山

富士山の山梨県側の登山道に環境省が今年の山開き(7月1日)から本格稼働させたバイオトイレで、し尿があふれる懸念が出ている。世界遺産登録を目指す取り組みなどで注目が集まり、今シーズンの登山者が設置当初の想定人数を大幅に上回った。世界遺産登録に、ごみの不法投棄など環境問題がネックとなってきた富士山で、環境に配慮したトイレがピンチに陥っている。

同県富士吉田市によると、7月中の登山者数は延べ約9万9000人。前年同期比で約3万5000人増えた。3連休初日となった7月19日には約1万1000人が訪れ、統計を取り始めた1981年以来、27年ぶりに1万人を超えた。
[2008.08.02付 毎日.jp]

バイオトイレ」とは・・・
土やおがくずの中ににうじゃうじゃいる微生物のパワーで分解するトイレ。
分解して、有機物と水を出す。
トイレの下にある「処理層」というところにスギ片などを配置して、
片っ端からガンガン分解。 すげーな微生物。
水を使わずにむしろ出すっていうのがすごい。

問題のトイレは吉田口登山道7合目にある。登山者の大幅増に伴い、一日の想定利用者1000人を大幅に上回る状況が続いており、環境省は「想定処理能力の限界を超えている」という。例年、大勢の登山客が訪れるお盆休みが近付いてきたため、管理している市も「毎日(し尿があふれないか)ハラハラしている」と警戒を強めている。
[2008.08.02付 毎日.jp/強調Ekojin]

・・・はは。ハラハラてw 対策打てよっていう。。。

まあ富士山ブームということだね。
まわりでも富士山登ったレポートしてる人増えてきたイメージある。
世界遺産目指していることと関係あるのかな?

バイオトイレ、、、、
富士山じゃなくてもいろんなところで徐々に広まっていくのかな。
微生物のニーズが高まってるって、、、
いくらエコだからっていって、なかなかすごい展開じゃね?

・・・でも良いことだと思います。

内モンゴル砂漠緑化隊 (15) ~その他エコもろもろ

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さて、内モンゴルレポートの最終回は、
植林とは別に、現地で見つけたエコ的なものを簡単に紹介していきます。

(下)森林を大事に、という政府広報。 「森林是人類生存之本」。 そのとおり。
その他1
 
(下)大青溝のゴミ箱。一番右は電池用回収ボックス。 観光地ならでは。
その他2
 
(下)他の札に比べて1元札の消耗が激しい。日本はお札の「物持ち」があまり良くない。
その他3
 
(下)ゴミが散乱。。。 埋めたのがハゲたのか、ただ単にみんなが捨てたのか。。
その他4
 
(下)同じ銘柄でビンの色が違う。リターナブル瓶だ。ラベルも取れかけ。これはいいね。
その他5
 

・・・中国政府は、国際環境会議の場では「発展途上国」の立場を利用して
「先進国」に課せられるべき義務を回避しようとしているなど、
何かと発展優先のエゴイスト国家の側面ばかりが強調されるけれど、
こういう市井のレベルでの環境活動は、他とそれほど変わらない。

今回の内モンゴルへの緑化活動の旅では、
多くの「気づき」を得ることができたけど、
エコに限らず政治や格差などの実態の「匙加減」に
触れることができたのが最大の「収穫」だった。
・・・やっぱり肌で感じないとつかめないことがあるっていう、
当たり前のこと。

機会があればこの地にまた来たいし、
その他の活動についても、できるだけ現場に「近づいて」みたいと思う。

・・・
さて、全15回の長きにわたってだらだらと続けてきた
今回の内モンゴルの緑化活動のレポートを、以上でいったん終わりたいと思います。

引き続き、よろしく!!

その他6

内モンゴル砂漠緑化隊 (14) ~他の「砂漠化」

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ところで砂漠化は、あたりまえだけど内モンゴルだけの問題ではない。

地球温暖化はもとより、大規模な灌漑によっても、湖は干上がる。

LakeChad
中央アフリカのチャド湖(1973年-2001年) ※NASA撮影
[PD/Wikimedia Commons]

Nouakchott
国土の砂漠化に直面するモーリタニアの首都ヌアクショット
[PD/Wikimedia Commons]

中央アジアのアラル海については、以前紹介済み。

AralSea
水が干上がって船が打ち捨てられたアラル海
[PD/Wikimedia Commons]

砂漠化は、気候的な要因と人為的な要因に大別される。
現在、地球上の陸地の約1/4(36億ヘクタール)が砂漠化の影響を受けている。
これは、日本の面積の約95倍に相当する。

さらに悪いことに、この砂漠が毎年6万平方キロメートルほど増えている。
これは、九州と四国をあわせたくらいの面積だ。

こんなカウンターがあった。
⇒「砂漠化リアルタイムカウンター

こういう現実を目の当たりにして、何かできることはないだろうかと考える。

これなんか結構面白い:

日本海などで深刻な漁業被害をもたらしているエチゼンクラゲを、砂漠の緑化に役立てようと、愛媛大(松山市)と伊予市の食品製造会社が共同研究を進めている。保水性が高く栄養分が豊富なクラゲを乾燥し、肥料にする技術で、大型のエチゼンクラゲを使えば、大量に安価な肥料が調達できるというアイデア。同社は肥料化技術の特許を出願しており、漁業関係者は「海の厄介者が砂漠の救世主になる日が来るかも」と期待している。
[2006.12.12付 読売新聞(Web版)/強調Ekojin]

日本海で大量発生して(原因はこれまた人為的な環境破壊だったりする)、
日本海の漁業に甚大な被害を与えているこの巨大クラゲが、
砂漠化を食い止めるかもしれないという。
体の99%以上が水と塩分で、残り1%が窒素、リン酸、コラーゲンなどの栄養分。
分子が大きいので、大量の水を吸収できる特徴がある。
これを肥料にして土に混ぜる、という試みだ。

これは期待できるプロジェクトだ。
是非成功してほしいと思う。

・・・というように、砂漠化の進行はあまりにも早くて破壊的なので、
打つ手がないようにも思うけれど、ここが人間の知恵の出しどころだと思う。
逆転の発想でもパラダイムシフトでもなんでもいいけれど、
エゴとエコなんて、点々だけの差しかないわけで。
ちょっとした意識の改革でよいのだと思うよ。

世界に目を向け、自分以外の存在にも思いを馳せる
・・・何より重要なことだと思います。

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内モンゴル砂漠緑化隊 (10) ~インフラの整備

<<PREV [内モンゴル砂漠緑化隊 (9) ~砂漠から土壌へ]

今回の旅で改めて認識したことのひとつは、インフラの重要性

インフラストラクチャー」(infrastructure: 社会資本)とは言うまでもなく、
病院、道路、上下水道、電気、ガス、ゴミ処理施設などの公共的な施設。
infra- (下の、下部の)のstructure(構造)、の名のとおり、
社会の基盤をなす諸設備を言い、国家が何より優先して考えるべき公共物だ。

(下)代表的なインフラである鉄道駅と道路。 この瀋陽駅は、東京駅を模したものだという。
インフラ9

(下)高速道路の料金所。
インフラ10

 
中国政府が北京オリンピックを、経済発展が約束されている市場として、
一人前の国家として、国際社会にアピールする絶好の機会にしたいということは自明だ。
上海や広州などの大都市を中心に、インフラ整備はものすごい勢いで進んでいるという。

・・・だけど、よく指摘されることだけれど、
儒教に基づく中国の共産主義には、万人平等という考え方はない
ましてや近代的な民主主義なんてものは絶無。
少数のエリートが庶民を治めるという基本構造は、科挙の昔も今も変わらない中国のDNAだ。
そもそもよく誤解されるけど、
中国の13億人の人口のうち共産党員は8000万人弱(2006年)で、6%にも満たない。
(※それでも世界一の党員数の政党なんだけどね)
つまり、ほとんどの中国人は、共産主義者ではない
にもかかわらず、「共産党が国を治める」と憲法前文に書いてある国、それが中国だ。

だから、地方のインフラ整備が整わないのも、貧富の差が拡大するのも、
当然の帰結と言える。
中国では、宗教の自由は最もあり得ない概念であり、報道の自由は皆無で、
それらの台頭は絶対に容認されず徹底的に弾圧される。
貧民が団結する術は残念ながらあまりない、と言える。

(下)手作りのTVアンテナ。情報統制された番組を楽しむのだろう。
インフラ11

・・・緑化活動の場はエリートの住まう大都市ではなく地方である為、
そういったことがわずかながら実感できた。
中国の貧富の差は本物だ
毎年2ケタのGDP成長率を誇るこの国の隠れた弱者の声は、あまりにも小さい。

 
(下)砂漠宿舎から砂漠への移動は、こういうジープ。
インフラ2

(下)あって無きがごとし、道路。
インフラ3
インフラ7

(下)ぎりぎり舗装されている道路。振動はハンパじゃない。
インフラ4
インフラ5

(下)ホテルは強風の為停電中。 シャワーは「お湯のみ」、という変わった仕様。
インフラ6

(下)トイレ。水が出ない、「水洗」。
インフラ8

(下)飲料水は、ミネラルウォーター。水道の水なんて飲めるわけがない。
インフラ1

・・・華やかな経済成長の裏に隠れた暗部。
いくら隠しても蓋をしても情報統制しても、漏れるものは漏れる。
この国のほころびを予感する

千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以って潰え、
百尺(ひゃくせき)の室も突隙(とつげき)の烟(けむり)をもって焚(や)かる

(千丈もある長大な堤防でも、ケラやアリが空ける小さな穴から崩れることもあり、
 百尺の高さの家屋も、煙突の隙間まら漏れる煙がもとで焼けることもある)
[「韓非子・喩老篇」(中国戦国時代)より]

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リアルライフにすら足りてない水

仮想空間セカンドライフに開設されたとある村

WaterVillage
teleport now ※要Second Life環境

3月22日の「世界水の日」に合わせ、今年(2008年)の同日にオープンした村で、
ウォーターパートナーズ・ビレッジ」という。
アメリカの団体Water Patners Internationalによるものだ。

世界で水不足に苦しむ途上国を疑似体験させることで、
世界に水不足の現状を訴えている。

ここでは代表してエチオピア、ホンジュラス、インドのそれぞれ3つの場所だ。

紹介動画:

・・・なかなか考えさせられる。
正直に言って、心が痛む。

なぜなら、これは決して「仮想」の話ではないから。
この仮想世界に登場する水を求める子供たちは現実に存在して、
今も15秒に1人の割合で亡くなっている。

先進国にいる我々は、屋根と空調のある自宅から、あるいは会社から、
仮想世界のフィルタを通してはるか遠くの世界の現実を知る。
知って、心が動く。あるいは心が痛む。

だけど、それで終わってはいけないのだ。

・・・具体的な行動
それができないのならば行動する者への具体的な協力

同時代に生きているすべての人間は、奇跡のような確率で共存している
そのことを心に銘じ、いたわりの心を持ち行動に移していきたい。

ハンバーガー1個は水1トン

仮想水」という考え方がある。

農産物の輸入の際に、それを生産するのに使用した水も合わせて輸入している、
という考え方。「バーチャル・ウォーター」とも言う。
日本で同じ農産物を生産したらどのくらいの水資源が必要か、という観点でも捉えられる。

その試算によれば、
ハンバーガーひとつを生産するのに必要な水は、約1トン
材料であるパン、肉、野菜などのそれぞれの水コストを合わせるとそうなる。
牛肉は成長に必要な飼料の分も計算に入れる。
ある意味、「仮想」ではなく、現実に消費された水とも言える。

・・・ものすごく極論を言ってしまえば、、
ハンバーガーを1回我慢すれば水1トンが節約できる、
ということだ。

Hamburger
ハンバーガー
[GFDL ver.1.2/Ericd, 2003]

もちろんそんな単純じゃない、ということは分かってる。
しかも、ハンバーガーだけの問題でもないことも分かってる。

だけど、意識の問題として大事な視点だと思う。
世界に目を向ければ、水は足りていない、ぜんぜん。
しかも、これからもっと足りなくなる。
このハンバーガーを作るのに何が必要だったか、ということを意識することは、
絶対に必要なことだ。

先進国にいると、水をめぐって戦争が起きそうだ、ということが実感としてつかみにくい。
でも、まぎれもない事実。

シャワーとか歯磨きとか、意識しなくちゃね。

五大湖とエゴとエコ

アメリカとカナダにまたがるグレート・レークス、別名「五大湖
(スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖、オンタリオ湖)。
世界最大の淡水水系で、最大のスペリオル湖は北海道よりも広い。
異名は、「アメリカの北海岸

Great Lakes
五大湖。緑は水源地域。
[PD/Wikimedia Commons]

その五大湖の水を巡る争奪戦が活発化しているらしい。
原因は、もちろんというか、水不足だ。

米国とカナダにまたがる五大湖の水を求めて、全米各州が火花を散らしている。水不足が深刻な米西部や南部から出ている「湖の水を使いたい」という声に、地元8州はカナダの2州と組んで囲い込みに動き出した。
[2008.01.13付 日本経済新聞「世界いまを刻む」]

五大湖からは遠く離れた南西部ニューメキシコ州のリチャードソン知事が、
西部の水不足の事態に対して、
東部と西部は国家的水政策について話し合うべきだ。
(五大湖岸の)ウィスコンシン州などは水が豊富だ。

という発言をしたところ、湖岸5州からの猛反発に遭うことになってしまった。
彼は、民主党候補として大統領選挙への出馬を表明していたが、
つい先日の1月10日に、選挙戦からの撤退を表明した。

20世紀最大の環境破壊」と呼ばれる中央アジアのアラル海は、
以前にも紹介したとおり、
世界第4位の大きさを誇る湖だったかつての栄光は跡形もなく消え、
あと数十年で干上がると言われている。
理由は、旧ソ連政府による綿栽培の為の強引な灌漑政策らしい。

五大湖を同じ運命にはさせまいと湖岸のアメリカ・カナダの各州は結束し、
たとえ同じ国の仲間が水不足であっても、湖水系外の引水には神経を尖らせる。

イリノイ、インディアナ、ミシガン、ミネソタ、ニューヨーク、オハイオ、ペンシルバニア、
ウィスコンシンのアメリカ側8州と、カナダ側のオンタリオ、ケベックの両州は、
湖の保全と環境保護を約束するという内容の「五大湖協定」を締結した。

エコだが、エゴだ
いま地球規模で起こっている水不足の問題と、
旧ソ連による無鉄砲な灌漑政策は、根本的に原因が違う。
だけど、湖を干上がらせるわけにもいかないのも勿論。
ある意味アメリカは自業自得、という気もするし。
アメリカは温暖化防止に大きな責任がある。
・・・難しい問題だ。

そうこうしてる間に、水位は確実に下がっている。
中央アジアではなく、北米で。
時間は全然ないよ。

(下)スペリオル湖
Lake Superior
["Lake Superior"/Author:kjell /cc-by-sa2.0]

水惑星の水不足

カオスが牙を剥きはじめた頃の痛ましい事件をあげるとすれば、2038年にアフリカで起きた、短期間ながらも凄惨をきわめた流血戦をおいてほかにない。東アフリカに位置する三つの国 ― ソマリア、エチオピア、そして小国のジブチ ― のあいだで繰り広げられたこの争いは、水戦争として知られている。
[ジェントリー・リー&マイクル・ホワイト著「22世紀から回顧する21世紀全史」/アーティストハウス/2003]

2112年の歴史学者が「前世紀」である21世紀の100年間を回顧する、
という一風変わった「ノンフィクション風SF」からのひとこま。

2037年に、大干ばつ後の深刻な水不足に見舞われたアフリカ諸国で、
ついに水をめぐって戦争が起こった、という筋書き。

・・・でもこの筋書きは、全然SFっぽくない。
というか、むしろリアルすぎて怖いくらい。
ホントにこうなるかも。
「ノンフィクション風SF」ではなく、
「SF風ノンフィクション」かもしれない。

日本にいるとあまり気づかないけど、世界の水不足って実は相当深刻。

例えば、中国の黄河って、四大文明の川のひとつで、
豊かな水量がゆったりと流れているイメージがあるけど、
1年のうち、川の水が海に届かない期間が相当ある。水不足で。
最近では1997年がヒドくて、1年のうち226日間も断流があった。

中央アジアにあるアラル海は、すこし前までは世界で4番目に大きい湖だったのに、
そこに流れ込む川の上流に運河を作ってしまった結果、面積がぐんぐん小さくなっていて、
あと10~20年で消えてしまうんじゃないか、って言われている。

アラル海(2004年)。黒い線が1850年の湖岸線。
Karte_aralsee
[GFDL ver.1.2/Naru-W, 2007]

地球は水の惑星と言われていて、実際に、地表の7割が水で覆われているんだけど、
そのうち人間が使える水は本当に少ない。
世界のすべての水のうち、淡水の割合はたったの2.5%。しかもそのうち1.75%は氷河。
だから、残りの1%にも満たない地下水や河川や湖沼の水しか使えない

しかも、穀物を作るために必要な水の量って思ったよりすごい。
1トンの穀物を生産するのに、1000トンの水が必要だとされている(!)。

いま全世界で、自然の循環能力を超えて人間が過剰に水をくみ上げている量は、
毎年1600億トンと言われているので、毎年1億6000万トンの穀物は、「赤字」状態で作ってる。
これが何を意味するかというと、
世界の人口の61億人のうち、
4億8000万人分の食料を、将来の世代から水を奪うことで作っている
ということになるんだって。しかも人口は毎年何千万人も増えてる。
つまり、このままでは、水がいつか枯渇する。
[レスター・ブラウン著「エコ・エコノミー」/2002年家の光協会刊]

かなり深刻。
間違いなく、政治の力で解決しなきゃいけない問題。

でも、ローカルでできることからコツコツと、という点で言えば、
シンプルに、節水だろね。

ハミガキのとき水を出しっぱにしない、とか、
風呂の残り湯使う、とか、
トイレのタンクにビールビンとかを沈めて水量を減らす、とか、
米のとぎ汁を植物の水やりに使う、とか。
そういうこと。

将来の人に借りは作りたくないし。
がんばろう。