水惑星の水不足

カオスが牙を剥きはじめた頃の痛ましい事件をあげるとすれば、2038年にアフリカで起きた、短期間ながらも凄惨をきわめた流血戦をおいてほかにない。東アフリカに位置する三つの国 ― ソマリア、エチオピア、そして小国のジブチ ― のあいだで繰り広げられたこの争いは、水戦争として知られている。
[ジェントリー・リー&マイクル・ホワイト著「22世紀から回顧する21世紀全史」/アーティストハウス/2003]

2112年の歴史学者が「前世紀」である21世紀の100年間を回顧する、
という一風変わった「ノンフィクション風SF」からのひとこま。

2037年に、大干ばつ後の深刻な水不足に見舞われたアフリカ諸国で、
ついに水をめぐって戦争が起こった、という筋書き。

・・・でもこの筋書きは、全然SFっぽくない。
というか、むしろリアルすぎて怖いくらい。
ホントにこうなるかも。
「ノンフィクション風SF」ではなく、
「SF風ノンフィクション」かもしれない。

日本にいるとあまり気づかないけど、世界の水不足って実は相当深刻。

例えば、中国の黄河って、四大文明の川のひとつで、
豊かな水量がゆったりと流れているイメージがあるけど、
1年のうち、川の水が海に届かない期間が相当ある。水不足で。
最近では1997年がヒドくて、1年のうち226日間も断流があった。

中央アジアにあるアラル海は、すこし前までは世界で4番目に大きい湖だったのに、
そこに流れ込む川の上流に運河を作ってしまった結果、面積がぐんぐん小さくなっていて、
あと10~20年で消えてしまうんじゃないか、って言われている。

アラル海(2004年)。黒い線が1850年の湖岸線。
Karte_aralsee
[GFDL ver.1.2/Naru-W, 2007]

地球は水の惑星と言われていて、実際に、地表の7割が水で覆われているんだけど、
そのうち人間が使える水は本当に少ない。
世界のすべての水のうち、淡水の割合はたったの2.5%。しかもそのうち1.75%は氷河。
だから、残りの1%にも満たない地下水や河川や湖沼の水しか使えない

しかも、穀物を作るために必要な水の量って思ったよりすごい。
1トンの穀物を生産するのに、1000トンの水が必要だとされている(!)。

いま全世界で、自然の循環能力を超えて人間が過剰に水をくみ上げている量は、
毎年1600億トンと言われているので、毎年1億6000万トンの穀物は、「赤字」状態で作ってる。
これが何を意味するかというと、
世界の人口の61億人のうち、
4億8000万人分の食料を、将来の世代から水を奪うことで作っている
ということになるんだって。しかも人口は毎年何千万人も増えてる。
つまり、このままでは、水がいつか枯渇する。
[レスター・ブラウン著「エコ・エコノミー」/2002年家の光協会刊]

かなり深刻。
間違いなく、政治の力で解決しなきゃいけない問題。

でも、ローカルでできることからコツコツと、という点で言えば、
シンプルに、節水だろね。

ハミガキのとき水を出しっぱにしない、とか、
風呂の残り湯使う、とか、
トイレのタンクにビールビンとかを沈めて水量を減らす、とか、
米のとぎ汁を植物の水やりに使う、とか。
そういうこと。

将来の人に借りは作りたくないし。
がんばろう。

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