先日(2010年3月7日=現地)の第82回アカデミー賞発表。
「アバター」が主要賞を逃したキャメロン元夫妻の争い(K・ビグロー快挙!)や、主演女優賞サンドラ・ブロックのラジー賞とのダブル受賞、多言語使いのクリストフ・ヴァルツの助演男優賞など見所はたくさんあったけれど、日本人にとってのニュースといえばなんと言っても、「ザ・コーヴ」(The Cove)の長編ドキュメンタリー賞受賞、だろうと思う。
⇒以前のエントリー
・・・この和歌山県のイルカ漁を糾弾する映画も、最近世論の大きなうねりが感じられる「反捕鯨」の流れの一貫だろう。クロマグロも禁輸の動きがあり、日本人が、日本の食文化について、否が応でも立ち止まって見つめなければならない事態になっている。クジラやマグロを食べることについて、日本人のひとりひとりが答えを求められている、とまで言うのは誇張かも知れないけど。
この映画は日本公開が決まっている。 ただ漁師の顔にモザイク処理をする関係で公開は延期されているが、延期されている理由はそれだけではなく、この高度に政治的な問題についての興行側の葛藤もあるだろう。地元の漁協は猛反発している。 隠し撮りされた上にジャパニーズ・マフィア、なんて表現をされたら反発するのは当たり前だね。 東京国際映画祭の招待作品だったが、そういう経緯もあって公開はわずか1日となった。
日本人の感情的な反発もある程度致し方ない、とも思う。日本の食文化を理解しない外国人が「日本のイルカ漁の実態について日本人が知らされていないのは問題だ」などと完全に上から目線で映画を作り、それが権威ある賞を受賞したとなればなおさら。大きなお世話、の一言でもいいたくなるだろう。
ただまあ、理性的に考えれば「とりあえず観てみよう」と考えるのが当然のこと。ドキュメンタリー映画がある一定の勢力を批判的に描くことは珍しくなく、むしろ普通のこと。今回はそれがたまたまイルカ漁の人たちだっただけだ。本人たちはたまったものじゃないだろうけど、観てもない映画を批判するのはあまり健全ではない、と思う。 それに、我々は、確かにイルカ漁の実態など知らない。漁師がマフィアではないことくらいは判るが、イルカをクジラとして売っている実態など、恐らく真実を突いている点も描かれているのだろう。 全てが事実無根なはずはない。 大部分の日本人もそう思うのではないだろうか。
それにしても、本当に食文化は難しい。そもそも食べ物というやつは、地球上の限りある資源のおすそわけを、さらにみんなで分け合っているのが本質なのだから、自分や自国の「文化」だと言って全てが許容されるわけもなく・・・。そういうことを判断する材料は、多いほうが良い、と思う。
(下)こんな人もいる。


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