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未読のまま積んでいた本を読了。 「生物と無生物のあいだ」 (著・福岡伸一/講談社)。 分類としては生物学の本。 念のため書くけれど、 |
・・・噂にたがわぬ名著で参った。
目からウロコが落ちました。
分子生物学者である著者が、自己のアカデミズムの原点であるテーマ、
すなわち「生命とは何か」という問いに対して、
その答えを探求するべく経験してきたことを語る。
「生命とは自己複製を行うシステムである」
20世紀の生命科学が達したこの答えについて、
分子生物学の最大の研究対象である遺伝子の組成などの
平易な解説を試みながら、より深い考察をしている。
砂と風に洗われつつも小さな海の精霊たちが運ぶ砂粒によって
元の形を崩さない砂の城。
そんな文学的なアナロジーによって説明される生命の本質、
―いや、ここだけではなくこの本全体がひどく文学的だったことに
正直困惑すらしたのだけれど、―
すなわち、
生命とは、動的平衡にある流れである。
という結論!簡にして明!
欠けるところも余すところもない名定義だと思う。
なるほどね。
鴨長明が方丈記の冒頭で謳いあげた有名な文:
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし」
これがまさか、生命のメタファーどころか、
科学的な意味においても生命の本質そのものだったとは。
生物学の本に「あるまじき」(といいたくなるほど心憎い)
著者の文章力に舌を巻きつつ、良書に出会えた喜びを誰かと共有したいもの。
神秘のベールを取り去ってもなお飽くなき探求の対象であり続ける
この生命という「小粋な何か」。
これからも敬意の念をもって接することにしたい。


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